コーヒー果実を手摘み収穫してから一杯の珈琲になるまで

by - 7:00 pm

 Date: 31 March, 2022



朝の一杯の珈琲。日本茶も好きだけど、コーヒーの香りはリラックスさせてくれるし欠かせない一杯。習慣化している朝のコーヒーだけど、どこからやってきてどのような工程を経て私たちの手に届くのか、この時まで真剣に考えたことはあまりなかった。

お手伝いしている知人のファームにはコーヒープランテーションもあって、幸運にも収穫から焙煎まで体験することができた。忍耐と辛抱の数週間。これを体験したら、巷のカフェで気軽に飲むことができる珈琲への感謝が倍増すること間違いなし。



 コーヒーの木とコーヒーチェリー 


小さな白い花が咲き、花が散ったのち緑色の小さな実を結ぶのがコーヒーの始まり。春先、オーストラリアだと8月下旬から9月上旬頃、コーヒーの実が真っ赤に熟し収穫時期を教えてくれます。英語で「coffee cherry」と呼ばれているのは、真っ赤な実がサクランボに見えるから。



      手摘み収穫      


完熟したコーヒーチェリーを一粒一粒手摘みする作業が延々と続く。完熟した果実を選りすぐって、と言いたいところだけど無理、正直やってられない。自家消費用なので、気にせずガガガァ―と一気にもぎ取る(笑)



  精製 A.水洗式とB.非水洗式 


赤いコーヒーチェリー(果実)から、中の豆を取り出す作業「精製」。
2つの方法があるんだけど、どっちが良いのか決められず結局両方とも試してみた。

精製 A. 水洗式(Washed)

◆Pulping:一晩果実を水に漬け込み、柔らかくなった果皮を取る

機械があれば水に浸ける必要がないけど、手作業の場合は柔らかくしてからが楽。コンクリートの上でフラットな木のボードで挟んでこすると皮がペロッと剥ける。最初は爪やナイフつかったりしてたけど、時間がいくらあっても終わらず、このやり方に行きついた。

↓写真は果皮を取り除く作業中


◆Fermentation:丸1~2日水に浸け発酵させる

これは、種の表面を覆うぬるぬるした粘液質と取り除くため。発酵完了後、水洗い&軽くこすり粗いして粘着質を取り除く。発酵が足りないとヌメヌメが取れないので、もう少し発酵を続ける。水が濁らなくなる程度まで2~3回水洗いを繰り返す。
種だけになったこの状態を「パーチメントコーヒー」と呼ぶよ。


◆Drying:天日乾燥。天気予報と睨めっこ

パーチメントコーヒーの含有水分が10%程度になるまで乾燥させるんだけど、天気や環境によって乾燥期間は1~4週間かかる。12%以上あると、保管の際にカビが生える原因になるので、長期保存する場合にはここ重要。

乾燥具合は五感を使って確認。色は明るめの藁のような色で、パーチメントの中の豆は青みがかったグレーって感じになる。かじってみた時に固くて割れない程度が良くて、柔らかいようだったら水分量が多い証拠。

↓写真:パーチメントが乾いてきてカラカラになってきた


◆Parchment removal:脱穀作業

パーチメントと呼ばれるやや固い皮を取り除く。ここは機械で一気にガーっと進める。Silver skinと呼ばれるごく薄い膜が残ることがあるけど、これはそのままでも大丈夫。




 精製 B. 非水洗式(Unwashed)

水を使わず天日干しで果実丸ごと乾燥させ、脱穀して豆を選別する精製法。

 

天候や気象条件でも変わるけれど、約4週間くらい干してみた。真っ赤なコーヒーチェリーがダークな色へと変わっていく。

この非水洗式は、ナチュラルな伝統的な方式だけど、豆の品質を維持するため、水洗式が主流になってきているのかも。でも、水が貴重な乾燥地帯ではこの方法で精製されているらしいです。



  生豆の完成 Green coffee  

 


この状態(写真:右)の珈琲豆がいわゆるGreen coffeeと呼ばれるもの
2020年は最終的に約8kgのグリーン豆が出来た!嬉しい~!

しかし翌年2021年は200~250gほど…。これは「隔年結果」現象のため。コーヒーは、収穫量が増える「表年」と、収穫量が減る「裏年」を繰り返す作物なのです。

両方の方式を試したけれど、次は手間が少ない②非水洗式でいこうと思う。



    焙煎 Roasting    

家庭での焙煎方法は、オーブンやフライパンを使うなど色々あるけれど、これ、ポップコーンメーカー!めっちゃ簡単だよ。




(↑)ダークロースト気味。

(↓)豊作だった2020年のグリーン豆の最後の残りと、
ほぼ収穫が無かった2021年のグリーン豆。




 一杯の珈琲の深みと重み 


何時間も費やして出来上がった一杯のコーヒー。シングルオリジン、そして100%自家製。1杯20㌦くらいの価値があるよね~なんて言いながら仲間と味わった。

ふと湧いてきた疑問。Fair Tradeマークがついたコーヒー豆も良く見かけるけど、あれは一体どういうことなんだろう?その場にいた誰も答えられない。

と言う訳で調べてみた。発展途上国でコーヒー果実の収穫や精製に携わる人々の最低賃金保証、コーヒー農家へ利益を様々な形での投資という形で還元している。
一方で、サティフィケート発行の認証プロセスには数百ドルの費用がかかるが、その費用はどのように使われているのか。

そんなことを考えるよい機会になった。みなさんの一杯の珈琲が、どこからどのような道を歩んでやって来たのか、考えてみてはいかがですか。



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