ヒヨコの孵化からニワトリを絞めて命を頂くまで <画像注意>
Posted: 18th January, 2022
今回の内容は、動物愛好家の方にとってショッキングな話&画像となるかもしれないので、閲覧にはご注意ください。
内容は真面目な「命をいただく」お話し。
最後まで至るあいだには、自分の中で葛藤や乗り越えなければいけない感情などがあり、結果的に感謝にあふれる貴重な経験となりました。様々な見方や意見があることは承知のうえ。様々な意見の中の一つとして聞いていただけたら嬉しいです。
孵化器でヒヨコの孵化に初挑戦
🐣 Week 1(Day 1~7)
飼っている4羽の雌鶏から集めた17個の有精卵を孵化器に。
🐣 Week 2(Day 8~14)
温度と湿度を毎日確認・調整しながら、10日目辺りでキャンドリング(暗い部屋で卵にライトを当てて成長具合を目視すること)。
無精卵とか成長が止まり死んでいる卵も分かる。血脈が作られてドックン、ドックンっていう動きが確認できた。
🐣 Week 3(Day 15~21)
孵化にかかるに数は21日間。最後の3日間はロックダウンに入り、湿度を上げて、卵を回転させるのを止め、平らな面に卵を置いてそっと見守る。本当に孵化する気がしないけれど、キャンドリングで命の存在を確認しているから21日目が楽しみである。
🐣 Day 21~22
卵には何も変化は見られないが、孵化器から聞こえる「pip pip」。
殻を破る前から「pip pip」って卵の中で声を上げるなんて知らなかった。ピッピッと話しかけると中から「pip pip」って反応するんだよ!雌鶏が温めてくれていたら、雛は卵の中からママ鶏の声を聞きながら頑張って殻の外に出てくるのかな。
くちばしで突いた小さな穴が次第に大きくなって、チラリと顔が見える。息を呑んで見守るんだけど、雛にとってはここからが大仕事。長いと24時間以上闘う雛もいるそうです。出た後はさすがにヘロヘロのヒナたち。
21日目に1羽、22日目に5羽が一気に孵化♡
🐣 Day 23
産毛が乾いてフワフワになるまでは孵化器の中で過ごします。孵化後1、2日は、飲み食いしなくても必要な栄養を蓄えて生まれてくるんだって。歩くのもすっかり上手になって、たくましい生命力に感動。
フワフワになったので育雛箱へお引越し。とは言っても、庭に転がっていた大きなプラスチックコンテナを改造しただけの育雛箱(笑)。必須アイテム4点は、
◆水(溺れて死んでしまうことも多いから注意)
◆餌(市販のヒヨコ用のドライフード)
◆ランプ&温度計(保温のため)
◆床にウッドチップ(滑って足を怪我しないように)
育雛箱へ入居と同時にお食い始め。まずは水の飲み方を教え、飲めるようになったら餌をあげる。みんな覚えが良い!一回で上手に飲めるようになり、一生懸命食べて飲んでは、ひたすら寝て過ごします。寝顔がたまらなく可愛い♡
🐣 Day 24
朝、ウンチの様子がおかしかった1羽のヒヨコちゃん。お尻をきれいにしてあげたんだけど、残念ながらその日の午後、天へ昇っていきました。命の勉強、ありがとう。
残りの5羽は、この後スクスク元気に成長。
ところで、孵化しなかった残りの11個の卵の行方は?
悲しいけれど、卵の中で息絶えてしまい孵化まで辿り着けませんでした。埋めるときに確認したら、多くが毛が生えていて、ゴールまでもう一歩だったのが分かります。殻を自力で破って出てくるのに、長いと24時間以上かかることもある大仕事。このプロセスを乗り越えられる、スタミナある健康な雛だけが生まれてくるんですね。
どんな生き物や植物、当然人間もそうだけど、生まれてくることが奇跡の連続の証なんだと、再認識することができた瞬間でした。そして、生きている限り「死」とは常に隣りあわせであることも。こうして今日も生かされていることに、ありがとうと言おう。
孵化後のヒヨコたちの成長
🐣 3~4 weeks old
今までが乳幼児世代とするならば、そろそろ小学生かな。天気や気温にもよるけれど、十分な温かさがあればお外遊びさせてあげる。外の環境に慣れてもらうため。(孵化後3週目以降が目安)
この子たちが孵化したのは秋口で朝晩の気温が下がるので、日中お天気の日にだけこうして外の世界と交流。やっぱりヒヨコたちは嬉しそうです。どうやらホロホロチョウが自分の子どもと勘違いしているようで、私が近づくと鋭い攻撃を受けるようになったのは想定外(笑)
🐣 5~8 weeks old
ティーンエージャー世代に入った生後5週目。
大きな飼育小屋にお引越ししました。羽も生えてきて体温調整も上手にできるこの時期から、大分自立した感じがあります。でも鳴き声はまだまだ甘えっ子、子どもの声なのがたまらん♡
初のセルフィーに興味津々(笑)
孵化後7週目あたりから、庭へ出て自由に歩き回り自分で餌を取り始めます。心配していたヘビや天敵の存在だけど、例のホロホロ鳥が警護に当たっているのでひと安心(笑)どこまでも一緒に付いててくれるんだけど、ヒヨコたちはどう思ってるんだろうかとふと気になったり。
ヒヨコの性別はいつ判別できるのか?
もしかして疑問に思っていた?ヒヨコの性別?
ここまで敢えて触れなかったのは、何を隠そう私にも分からなかったから。
調べると、色々な部分で判別できるポイントがあるようです。ヒナの段階で言うと、例えば羽の伸び方、体の色、そして肛門!知らなかったんだけど、専門家がいて、その多くが日本人らしいのです。その名も「初生雛鑑別師」、通称ひよこ鑑定士。ぜひスキルを身につけたい!
うちの場合は、コケコッコーと鳴くまで待とうというスタンス。それでも観察しながら、どれが雄鶏かと皆でよく議論していました。
そして、最初の「コケッ」(最初は上手に鳴けないw)を聞いたのは、孵化から19週目。孵化後3~4ケ月で鳴き始めることも普通にあるようなので、この彼はのんびり屋さんだったんだと思う(上の写真の茶色の子)。
トサカが立派だったから予想はしていたけれど、それでも最初に「コケッ」を聞いた瞬間、人間たちから歓声が!!
(この先の話、聞きたくない人はここでブラウザ閉じてくださいね。
でもぜひ最後まで読んでいただきたいです。)
鶏を絞める日
「コケコッコー」と鳴いたのは結局5羽の内の1羽のみ。
うちには既に雄鶏が一羽いるので(この子たちのお父さんですね)2羽は飼えないのです。仲間と「雄鶏が生まれたらどうするか」と話し合ってきましたが、とうとう答えを出さなくてはいけない段階に来てしまいました。
①買い手を見つけるか、②絞めて捌いて食用にするか。
他のメンバーは経験者なので②に迷いはなく、迷いがあるのは私だけ。
このイケメン鶏を見ながら「ノ~~ノ~~ムリムリ」と思う日々。
でもある気づきが決断に導いてくれた。
よく考えたらさ、①の先には結局②の結末が待っているのかもしれないんだよ。そして、食卓に出てくるチキン料理は、スーパーマーケットで購入したもの。つまり、どこかの工場で②のプロセスを経てきたもの。
私が辿り着いたところは、愛情かけて育ててきた鶏を、愛と感謝の想いと共に絞めて頂くことは、残酷でも悪いことでもない。と、自分の中で思いを消化することができたのです。むしろ、それが私の責任のような気がしてきたし、それは今でも考えは変わっていません。
儀式の日
経験者のリードの元、教えてもらいながらほとんどのプロセスを自分の手でやることができました。首を切る部分を除いては。
切った瞬間は今でも思い出すと苦しいけれど、動物を世話するとは楽しいことばかりではない。楽しいことも辛いこともすべて含めて、動物と暮らすということなんだと今は理解しています。
ありがとう、と声をかけながら血抜きの済んだ体から羽をむしり取る。熱湯に一瞬浸すと、驚くほど簡単に抜けるんです。ありがとう、ありがとうと唱えながら、作業の手を進める私たち。(友人の鶏も合わせて、この日は3羽が儀式に参加しています。)
羽や毛が無くなると、スーパーマーケットの棚にパックされて並ぶ、皆さんご存じ「チキン」の姿。しかし中身がつまっていますから、正確にはスーパーのチキンにはまだ辿り着いていませんね。
次は内臓の処理。これも経験者の指導の下で進めます。一つ一つどの部位なのか確認しながら、まさに学校でやった解剖の時間。
何だか分からないものが現れて、あーだこーだ考えていたら、どうやらオスにしかない精巣だったっぽい。当たり前だけど、メスだったら卵巣があるってことなのね、へぇ~と会話は盛り上がる女子たち(笑)。
特に食べてみたかったハツ(心臓)と砂肝(胃袋)。きれいに処理して、ごま油&塩でその場で調理。ウンウン。美味しい!ありがとう、ニワトリ君!
「いただきます」の精神
お肉は翌日スロークッカーで煮込み、とても美味しいご馳走となりました。
最後まで感謝の念が止まらないのと同時に、心の底から美味しく頂くことができた自分に、正直ちょっと驚いていました。もっと躊躇するのかなとか、悲しくなるのかな、と想像していたけれど、そういった気持ちは一切湧いてこなかったのです。
「絞める」というプロセスの中で、そのような感情は整理されて消化されたのかもしれない。だからこそ全てのプロセスに関わることは必要だったんだなと思えます。
食材への感謝
肉や魚、野菜や果物の命。食事の前の挨拶「いただきます」に含まれた、「命を頂き私の命にさせて頂きます」 という意味。
食事に携わってくれた方への感謝
食事が食卓に並び、食べられるまでにどれだけの人が関わっているでしょうか。料理が提供されるまでに食事に関わったすべての人に「いただきます」と感謝する。
御馳走様
冷蔵庫もスーパーも無かった時代、食事を準備するということはとても大変なことでした。チキン料理を出そうものなら、この一連のプロセスが必要なんですから。
食事を出してもてなすために奔走する様子を表した「馳走」。後に丁寧語の「御馳走」になり、贅沢な料理を指すようにもなったとも言われています。そして、食事を準備してくれた方への感謝を込め「様」がつき、現代の食事の後の「ごちそうさま」という挨拶になったようです。
「いただきます」「ごちそうさま」という美しい言葉がある日本に生まれて良かったな。
100%自給自足。それって最高な暮らしだよね。ただ、それが出来る人ばかりではない現代社会だから、100%自給自足を目指すのではなくて「自分に出来ることは何なのか」を考えたい。何に意識を向けるか、意識を向ける先を変えることは出来るはず。
例えば、自給自足率を1%だけ上げてみよう。ハーブや野菜一つをプランターで育てるだけでも、自然は驚くほど様々な気づきを与えてくれる。買い物する時には地産地消を意識しよう。地元の生産者を支え、フードマイレージを減らし、そして何よりエネルギーのある食材を身体に与えてあげる。何よりも効果のある健康の源がここにある。
「高かろう良かろう、安かろう悪かろう」
高いものが必ず良いとは言わないけれど、安いものにはそれなりの理由があると思うんです。実は、昔は何も考えずに安い食材を追いかけていた私。色々体験して学んで、以前より賢い選択をできるようになってきました。それが自分の喜びになり、そして身体も喜んでいるのがわかるから、そこに気が付くと病みつきになっちゃうんですね(笑)。
おまけ
5か月後に行った、2度目の孵化の様子。
孵化器の中の温度・湿度管理が悪かったのか、4羽孵化したうち、3羽は孵化から間もなく天に旅立っていきました。
残った1羽は仲間を探して叫び続けるのです、本当にノンストップ。。。これじゃ私も眠れないし(孵化器はベッドルームにあるw)雛も体力消耗して病気になっちゃう。
ってことで、夜な夜なグーグル先生に教えてもらった対処法が「かがみ」。これがさ、ビックリするくらい効果覿面でした!
鏡を入れた瞬間、叫びが収まり私はホッとし、
ヒヨコは間もなく鏡の中のお友達の横でスヤスヤと夢の中。
🐣
翌日、養鶏家さんを探し出し、6羽を養子に向かい入れました。
みんな仲良くスクスク成長中♡
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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