オーストラリアで保育士ライフ_雇用形態や保育士の1日について
Posted: 23 August, 2017
(Updated: 22 October, 2020)
Source: stock.tookapic.com
日本の保育士さんたちは、処遇や待遇の低さ、労働環境の質の悪さなどに納得していないという声を、メディアだけでなく、実際に保育士として働く知人からも度々耳にしてきました。
私はオーストラリアで保育士として7年ほど働き、日本とオーストラリアの仕事内容や働き方の違いを感じています。日本にもスタッフを最も大切に考えている経営者もいるでしょうし、オーストラリアにも劣悪な経営者もいます。私も最悪なオージーボスの元で働いたこともあります。
ここでは、私の7年間の勤務経験で感じたことを書いて紹介していきたいと思います。
目次
・保育士になるために必要な資格
・日本人でも採用してくれる?
・病気休暇や有給休暇は?給料は?残業は?
・今までに働いた保育園の形態
・保育士の1日の仕事の流れ
・最後に勤務したあこがれの保育園
保育士になるために必要な資格
ource: Emily Ranquist from Pexels
以下の資格を取得しているか、コースに通っていることが必要です。
ーCertificate III in Early Childhood Education and Care
または
ーDiploma of Early Childhood Education and Care
その他 必須の4つの資格
- Police check(オーストラリアでの無犯罪証明):QLD州はBlue Cardと呼ばれます
- First Aid(救命/応急手当)
- CPR(心肺蘇生法)
- Asthma and Anaphylaxis Certificate(喘息およびアナフィラキシーショック対処法)
日本人でも採用してくれる?
日本人の私が、フルタイムでローカルのオージー達と一緒に仕事をしていますが、日本人ということでハンディを感じることはありません。スタッフも保護者も対等に向き合ってくれます。
外国人(オーストラリアでは私たち日本人は外国人)だから、就活に不利と感じることがあったらならば、それは思い込みかも。「日本人だから…英語が…ローカルの人には…」など思いは、無意識に言い訳を作って、それが就活を難しいものへと仕立ててしまう悪循環。
逆の発想で、「日本人だからこそ出来ること!」を考えてたいですよね。日本人であることをアドバンテージに変えて、自分にしかできないことを売りにしてどんどんアピールしていきましょう。
ちなみに、保育園で働いてるって英語で何と言う?
「I work at a day care/child care centre.」
Kindyということもあるけれど、どちらかというと4歳児から通うKindergarten programs(日本で言うところの幼稚園)のことを思い浮かべるので、Day care又はChild careが正しく伝わりやすいと思います。
病気休暇や有給休暇は?給料は?残業は?
病気休暇や有給休暇
Relief workers(代替員)がいるお陰で、保育士は体調が悪くても安心して休めるし、2~3週間の連続休暇も取ることができます。保護者たちもそれを理解してくれています。病休や有休をとることが、当たり前の権利として社会で認識されていることが背景にあると感じます。
給料・賃金について
チャイルドケアで勤務する保育士はChildren's Services Award 2010、Early Childhood Teachers (ECT’s) はEducational Services Teachers Award 2010に賃金が規定されています。
CertificateⅢやDiplomaで働く場合はChildren's Services Award 2010の賃金が適用されます。CertificateⅢとDiploma資格保持者の2019年7月以降の賃金は次の通りです。
残業はどのくらいするの?
正式な残業は、ほとんどしたことがありません。させてくれません。なぜなら雇用主が残業代を払わなければならないから。シフト時間を過ぎて残っていると、スタッフたちから追い出されます。
実際に残業代を支払われたのは、保護者が閉園時間を過ぎてのお迎えだった時の30分。保護者は、遅刻に対して分単位でペナルティ代を請求されます。
しかし、実際には自宅で仕事をすることも多かったです。いわゆる「持ち帰り残業」ですね。1つは、クラス担任のレポート関係業務。英語という第二言語で書くことに他のスタッフよりも多くの時間を必要としたので、自宅で集中してやる方が私の気質に合っていました。
もう一つは、アクティビティの準備。フラッシュカードを作ったり、オンラインでアクティビティのアイディアをリサーチしたり。これは、子どもたちの喜ぶ顔を見るとやめられないんです。完全に職業病ですね。
日本の保育士さんたちから聞く持ち帰り残業の原因、行事準備。
これに関しては、私が働いた保育園ではあまりありませんでした。大きな行事といえば、年末のクリスマス。学校などは12月が終業式なので、一年の締めくくりのパーティが開催されます。いたって簡単・シンプルなもので、多少の準備や持ち帰り作業もあるものの、年に一度のイベントなので私は楽しんで取り組んでいました。
今までに働いた保育園の形態
・Long Day Care / Casual relief job
最初の仕事は、ゴールドコーストでChild Careの勉強をしていたときにPlacement(実習)をしていた、大手フランチャイズの保育園。Relief workで、主に病欠や休暇の先生のカバーで働きます。
開園時間が6am-6pmなので、朝6時過ぎに「今日働ける?」と連絡が入りシフト時間を確認して出勤(On-call)。ホリディなどで欠員が分かっている場合には、事前にシフトを告げられます。
働くクラスは0歳児のクラスから4・5歳児クラスまで様々。経験1年目で、クラスごとのルーティンや子どもたちの名前を覚えるのが大変でしたが、毎日が学びの連続で、あっという間に1日1日が過ぎていきました。
・Long Day Care / Part-Time job (Assistant educator)
Casual reliefで働き始めたタウンズビルのセンター。タウンズビル市内では大きなセンターの一つでルームは8つ。1か月が経つ頃、アシスタントポジションが空くからやってみる?とオファーを受け快諾。とてもラッキーなタイミングでした。
Assistantは、担任(Lead educator)の文字通りサポート・アシストをするのが仕事。担任の先生がスムーズにカリキュラムを勧められるようにするのが役目で、チームワークとコミュニケーションが重要です。
勤務時間数は週37.5時間、平均して1日7.5時間で、半年毎に大きなロースター(勤務表)の変更がありました。
・Long Day Care / Part-Time job (Lead educator)
2年目からはLead educator(担任)のポジションにつきました。これはRSMSビザスポンサーシップの条件なので選択の余地は無く、ワクワク楽しみもありましたが不安いっぱいの中でスタートしたことを覚えています。
実際やってみると、ペーパーワークは本当に大変ですが、カリキュラムは自分の好きなように組めるし、ルームアレンジなどの決定権があり(もちろんチーム内で相談して決めます)、副担任に比べて何倍ものやりがいを感じ、楽しむことが出来ました。
日本人であることを活かしたレッスンもたくさんカリキュラムに盛り込みました。印象に残っているのは、子どもたちがどうぶつの歌を覚えて、生活の中で日本語がふと出てくる様子を見たとき。ママから「Nekoって何の意味?うちの子が言ってたの」とか言われたとき。それはそれは感無量、胸いっぱい。
保育士の1日の仕事の流れ
・ある園の 2~3歳児クラスの一日
6am - 開園
7:30am - Outdoor play(10時ころまで外遊び)
8am - Toileting(おむつ替えも含め、全てのこどものトイレを済ませる)
9am - Morning Tea(朝のおやつの例:フルーツなど)
10am - Toileting(またおむつ替え)
10-11am - Indoor activities(基本的には子どもがやりたいこと優先)
11am - Packing away(片づけ)
11:30am - Lunch
11:50am - Toileting(3度目のおむつ替え)
12-2pm - Rest time(こども達が寝てる間に、掃除と大量のペーパーワーク)
2pm - Toileting(起きたらまたおむつ替えるよ)
2:30pm - Afternoon Tea(午後のおやつの例:焼き菓子、ヨーグルト、ベジプラッターなど)
3pm - Outdoor play(お迎えまでひたすら遊ぶ)
4pm - Toileting(5度目のおむつ替え)
6pm - 閉園
・子どもが自分で遊びたいものを選択
アート、工作、粘土、ブロック、人形、ままごと、絵本などを中心に、基本的には子どもたちのチョイス・興味にあわせてアクティビティを決めていくのが特徴。自由遊びの時間が非常に多く、こどもそれぞれが自分の興味があるアクティビティを選んで遊びます。
基本のプログラム計画はありますが、脱線して全く違うことをすることも頻繁。他には、異文化学習、クッキング、環境、科学などのアクティビティもたくさん提供します。
・こどもは自ら遊びを選び学ぶ Learn from Play
この理念を大切にしているのがオーストラリアの幼児教育。なので極端に言うと、何もやりたくないという子はそれでOKなのです。その子は周りの子を見て観察しながら色々なことを学ぶのでしょう。
とは言っても、毎日何もしない子はいません。その子が興味があるものを家族から聞き出して、こちらから興味が沸くようなアクティビティを子どもに提供するのが私たちの役割。毎日保育園に来ては、決まったように電車や車で遊んで帰っていく子もいます。赤ちゃんの人形を抱えて歩き、赤ちゃんの面倒を見る母親役を毎日やる子もいます。子どもが遊びに没頭しているときが最高の学びの瞬間なのです。
そして没頭しているこどもに「何しているの?」と声をかけることは、「邪魔」なこととして、私が勤務した園では避けられています。子どもが先生に話しかけてくるまで、そっと見守ることが、大切な役割だと思います。
・その他の担任の業務
日々の業務には、毎日何をしたのかの記録、月ごとの子どもたちの成長記録などの書類、ペーパーワークがあります。
法律ではLead educatorに最低週2時間のNon-contact programming timeを義務付けていますが、1週間に2時間で終わる量ではないのは、私だけではなくネイティブの先生でも同じ状況。センターによっては2時間以上のProgramming timeを与えているところもあるようです。
最後に勤務したあこがれの保育園
サンシャインコーストに引っ越してから勤務している保育園は、築100年の建物をトレードマークに、アットホームな雰囲気、自然あふれるナチュラルな環境、コミュニティとの繋がり、そして食育に力を入れている本当に素晴らしい保育園です。
装飾品やインテリア、アンティーク家具は「おばあちゃんの家」を思わせるラインナップ、いままで働いた保育園とは何一つ似ているところが無いのです。
記事中にある園庭の写真2つは、人工芝に無機質なアスレチックジム。このようなヤードがまだまだ多いオーストラリアですが、木の素材を使った「ナチュラル」をテーマにしている保育園も増えてきています。
・子どもの1日
子どもたちは1日の大半を外で過ごします。木登りしたり、岩や落ち葉をつかってままごとしたり、ガーデニング、鶏の面倒みて卵を集めたり。年長クラスの子どもたちは週に2~3回、近所にお出かけする機会があります。
そして、かわいらしいダイニングルームが私のお気に入りポイント。まさに森の中の小さなレストラン。こどもたちはシェフが腕を振るう美味しい食事をここで頂きます。メニューはバラエティに富んでいて、保護者からは大好評です。
・年齢 縦割りグループ
もうひとつ特徴的なのは、各年齢グループごとに部屋はあるものの、ヤード(園庭)同士をつなぐゲートが日中はオープンで、子どもたちは違った年齢の子どもたちに混じってすきなヤードで遊びます。この仕組みは今年から始めたそうですが、劇的に子ども同士のけんかが減ったと園長先生は言います。
・スタッフ
子どもたちを大事にするだけではなく、スタッフに対するケアも手厚く、スタッフ同士の関係も比較的良好。そりゃ小さなことはありますが想定範囲内(笑)。
そして私が良いなと感じていることは、こどもに怒鳴る先生がいないこと。そのお陰か子どもたちも行動に落ち着きが見られます。頭ごなしに大きな声で「Stop!」って言う先生が苦手な私。クラスの雰囲気ぶち壊しだし、それで子どもが言うことを聞くようには決してならないのです。
☆最後までお読みいただきありがとうございます。Sunshine SpiritライターのYumiです。
何かを変えたい、変わりたいという思いを抱いていませんか。人生の中で分かれ道に立った時に何を選択するか。変えたいという気持ちは、いつでも挑戦する道を選ぶようにと私を後押ししてきました。変化するって勇気のいる選択だけど、そのボートに乗って漕ぎ出したらボートは水の力をかりながら進んでいきます。思い描いていたところとは違う場所にボートがたどり着くこともあるけれど、ヘルプが必要な時には助けの手がやってきます。
何だか心がざわざわ、そわそわしませんか。ブログ内コンタクトフォームからお気軽にメールでご連絡ください。お待ちしています。Yumi
何かを変えたい、変わりたいという思いを抱いていませんか。人生の中で分かれ道に立った時に何を選択するか。変えたいという気持ちは、いつでも挑戦する道を選ぶようにと私を後押ししてきました。変化するって勇気のいる選択だけど、そのボートに乗って漕ぎ出したらボートは水の力をかりながら進んでいきます。思い描いていたところとは違う場所にボートがたどり着くこともあるけれど、ヘルプが必要な時には助けの手がやってきます。
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